ゲームセンター挽歌

僕はここにいる

暖房は切れてしまった
ピンボールゲームも動かない
窓ガラスが僕を見る
夜空に焼き付く男は 心霊写真のようだ

暗い箱を掲げて
のぞき穴を奪い合った
さかさまの子供たちの踊り
サイダーに酔いつぶれた

ピンホールカメラの季節は終わった
アルミ缶に蹴躓く
からんからんと
部屋の壁を何度か跳ねて 消える

僕はまだここにいる

音のない夜景を眺めに来たのだ
町の灯は星より弱く
さかさまの大人たちの踊り
フィルムはお化けを見つめたまま

ピンボールゲームの季節が終わった
ここでは誰もが自分の声を
確かに聞くことができる

からんからんと
ほら 確かに聞くことができる